建築を観る
セルフビルド
2017年06月20日
46歳のひとりの男が、亡くなるまでの21年間を費やし、切り立った岩場を、ノミやツルハシなどだけで、ひたすら掘り続けることによってつくり出したという建築。
内部は、本人曰く、ロマネスク様式となっているのだそうで、花瓶や棚、机などまでが、岩から削り出されているといいます。
「何等功利上の目的はなく、唯純粋な芸術的な創造慾の満足と、建築の最も合理的にして完全なる範を永く後世の人士に垂れんが為」...。
どこか狂気すら感じられるような、作品としてのセルフビルド建築の極北。
その強烈な建築への意志を失った今は、自然へ還らんとしているようでした。