仲 摩 邦 彦 建 築 設 計 事 務 所 
  Nakama  Kunihiko  Architects 

WORKS

S薬局

築40年の店舗+住宅をリノベーションしました。

リノベーション後の外観

築40年の店舗+住宅をリノベーションしました。
傷んでいる部分を補修・補強しながら、
新築と変わらないようなものへと再生させました。 

リノベーション前の外観

工事前と較べてみると別の建築のようですが、よく見ると実は、2階部分にはあまり触れていません。
手を加える必要がある部分を絞り込んでいます。

リノベーション前の入口

リノベーション前には、正面に全く壁がなく、構造上不安定な形状になっていました。

リノベーション後の入口

不安定な部分に新たにアルミの箱を挿入して支えることで、構造上のバランスをとるようにしました。
そして同時にこのアルミの箱は、店舗と住宅それぞれの部分をはっきりと分離する役目も果たしています。
構造上の補強や動線の分離、等々の様々な効果を、箱を挿入するという非常に単純な操作だけで実現しようと試みました。
 

リノベーション前の店内

店舗内部は、リノベーション前の状態から、動線を整理することが必要となりました。

リノベーション後の店内

作業のための動線と客のための動線とを明確に分離し、外部から連続するアルミの壁とカウンターや陳列棚によって、客を奥へとわかりやすく誘導するように計画しました。

渦巻き状の動線

店舗の一番奥にある調剤室と薬の受け渡しコーナーとは、様々な理由から、その位置を移動することは出来ませんでした。
そのため、そこへ向けて渦巻きのような動線をつくることで、それぞれの場所に必要なスペースを確保するようにしました。
 

渦巻き状の天井

店舗を訪れた客が自然に奥へと進めるように、店の動線は渦巻きのようになっていますが、天井の方も同様に渦巻きのようになっています。
客が歩く経路となる部分の天井は他の部分よりも高くなっていて、その段差を利用して照明をしています。
光に導かれるように歩くうちに、自然と奥へと辿り着くようになっています。

住宅と店舗

住宅部分のリビングルームは、店舗部分と開口部によって繋がっています。

隠れている引き戸

住宅部分と店舗部分とは、普段は壁の中に隠れている引き戸によって、必要に応じて仕切ることが出来ます。 

住宅部分のリビング

住宅部分のリビング。
1畳分の大きな掘りごたつがあります。
店舗と反対側の面は、ウッドデッキのテラスへと続く大開口になっています。
元々は壁で閉ざされていた部分ですが、他の部分を補強することで、ここには大きな窓をつくりました。
ウッドデッキと同じ材料で出来た塀の先の緑は、お隣のお庭を借景しています。

寝室に変身

元々はボイラー室や倉庫だった部分は、間仕切りを取払い、大きな窓を付けてウッドデッキのテラスとも繋ぐことによって、寝室へと変身しました。

敷地の余白を利用したテラス

家の周りの余白を利用して、室内と段差無しで出ることが出来るウッドデッキのテラスをつくりました。
わずかなスペースですが部屋が格段に広く感じられます。
どこの家でも割と簡単に使えそうな部屋を拡げる方法です。
元々あったブロック塀は取り外し、床と同じデッキ材で目隠しの塀を新設しました。
ブロック塀で囲まれていた時には湿気がこもっていたため、板の隙間から風が抜けるようにしました。
緑は隣のお庭の借景です。
 

開放的な店舗

道を歩く人からも中がよく見える開放的な店舗になっています。
内か外か分からないぐらい開放的です。
シルバー色の鈍く光るアルミの外壁が、そのまま屋内へ入り込んで受付カウンターになっています。
ガラス面の内側の天井内にロールスクリーンを仕込んであり、必要に応じて目隠しをすることも出来ます。
またガラス面外側の軒天井の中には電動シャッターも仕込んであり、閉店後はスイッチ一つでガラス面をすべて覆い隠すためセキュリティも万全です。