近況
安藤忠雄展
国立新美術館で『安藤忠雄展』を観てきました。
外国からの人も含めて、かなり大勢の人が来ていて、熱心に観ていました。
建築展としてだけではなく、その他の美術展を含めても、
現在活躍している作家の中で、
これほどの関心を集めることができる人が他にいるのかな、と思えるほどでした。
展示の方も、
ちょっと考えられないほどのエネルギーが投入されていて、
全部を観終わった後は、とにかく、くたびれました...。
そういえば、今から25年ぐらい前の学生の頃にも、
今はなきセゾン美術館で、
『安藤忠雄建築展』というのを観に行ったことがありました。
その時にも、その展示内容もさることながら、
何よりも、そこに投入されている膨大なエネルギーに圧倒されました。
特に印象に残っているのは、
「中之島プロジェクト」の10メートルはあろうかという馬鹿デカイ配置図や断面図の背景が、
鉛筆で描かれた曲線で埋め尽くされていることに、度肝を抜かれてしまいました。
(この図面は今回の『安藤忠雄展』でもまた展示されていました)
図面の背景の、どうでもいいのではないかと思ってしまいそうな部分に(失礼)、
一体どれほどの人と時間が費やされているのか、と...。
割と単純なアイデア(いい意味です)を、
馬鹿げていると思われるほどのエネルギーを投入して表現する(勿論いい意味です)感じが、
昔も今も、とにかくスゴイと思いました。
展示されているプロジェクトの内容をよくよく観てみるとわかるのですが、
法規制などの社会の制度と、多くの軋轢を生みそうなものがたくさんあって、
そうしたことを、単純なアイデアで突破しようとするには、
これほど膨大なエネルギーが必要になるということなのかもしれません。
やはり、一見単純に見えるようなことを成し遂げようとするのが、
一番難しいということなのかもしれないなあと思いました。