仲 摩 邦 彦 建 築 設 計 事 務 所 
  Nakama  Kunihiko  Architects 

脳室反射鏡


2020年10月19日

 

 
仕事の現場に近かったので、『式場隆三郎[脳室反射鏡]』という展覧会を観てきました。

私は式場隆三郎についてはあまり詳しく知らなかったのですが、昭和初期に東京深川に存在していた奇怪な住宅建築「二笑亭」を紹介した著書『二笑亭奇譚』は読んだことがあり、それがとても面白かったので、その名前は記憶していました。

展覧会は式場隆三郎の幅広い活動の全体像を見せるような感じのものになっていました。
元々は精神科医でありながら生涯におよそ200冊の著書を発表し、さらにはゴッホやマルキ・ド・サドを広く日本に紹介し、初期の草間彌生を支援し、山下清のプロモーターを務める、と言った具合に、とても一人の人間の活動とは思えないぐらいの広範な活動を行った人だったのだそうです。

そんなあまりにも幅広い活動の全貌を追うのはなかなか大変みたいで、もっと詳しく観たくなるような魅力的なエピソードがたくさん並ぶ中、ちょっとアッサリし過ぎかなと個人的には思いました。

私はもう少し詳しく「二笑亭」の話を観たかったのですが、それ以外にも、白樺派への傾倒、民藝運動との関わり、三島由紀夫との交流、河井寛次郎なども関わったという自邸や経営に関わっていたホテルの建築について等々、もっと詳しく観たくなるような面白そうな話がたくさん並んでいました。

ともあれ、バラバラに知っていたことが、ガチャガチャと繋がっていくような、とても面白い展覧会でした。